巷では「ネガティブ思考を改善する方法」「ポジティブになるには」といったメソッドがよく見られますね。
やはり、それだけネガティブ思考をどうにかして直したいと思っている人が多いのだと思います。
ただ、「改善」や「直す」といった言葉を使われると、どうしてもネガティブ=悪みたいに捉えられる気がします。
とは言え、確かに世間の風潮としては、ポジティブ=正義で、ネガティブ=悪という印象が根付いているように感じます。
しかし、ネガティブ思考は本当に忌むべき悪なのでしょうか?
私自身も典型的なネガティブ思考ですが、そもそも必要な感情だから存在するんじゃないの? とも思うんですよね。(そう思いたいだけかもしれませんが(笑))
今回はそのあたりを考えてみようと思います。
ネガティブ思考=悪という風潮
確かに、ポジティブ思考の人に比べると、ネガティブ思考の人は敬遠されがちというか、嫌われる傾向が多いように思います。
なぜネガティブ思考がこんなに嫌われてしまうのか。
それに関しては、こちらの記事に詳しく書いております。↓
上記の記事の結論として、ネガティブ思考が嫌われてしまう理由としましては、結局のところ、そのネガティブな思考を口に出すか出さないかの違いであるという結論に至りました。
一方的にそういった感情をぶつけてしまうような、相手に負担のかかる関わり方に問題があるということですね。
要するに、ネガティブ思考にプラスしたその人その人の性質にもよるところなのだと思います。
これはネガティブもポジティブも関係なく、相手に対しての最低限の気遣いや配慮といった、心地よい人間関係を構築するための基本的な部分ですよね。
人はやはりポジティブな言葉・肯定的な言葉よりも、マイナスな言葉・否定的な言葉に対してのほうが敏感になるものですし、記憶にも残りやすいものです。
その結果として「この人はネガティブな発言ばかりで嫌な気持ちになる」という印象が強く残り、最終的に「ネガティブ=悪」という風潮ができてしまっているのではないでしょうか。
ネガティブ思考のプラス面
ネガティブ思考は悪いものだという世間の風潮があるわけですが、じゃあネガティブ思考自体がそもそも不必要な感情なのかといいますと、一概にそうとも言えないのではないでしょうか。
物事にはさまざまな側面がありますので、一方ではマイナスに作用するけれども、またもう一方ではプラスに作用する場合もあります。それはネガティブ思考にも同じことが言えるかと思います。
では、ネガティブ思考がプラスに作用する場合というのは、どういったものが挙げられるでしょうか。プラスに作用するということは、すなわちそれはネガティブ思考の長所ということになりますね。
物事に対して慎重
これに尽きると思います。
ネガティブ思考をプラスに言い換えると「慎重派」と言えるのではないでしょうか。
目の前の事象に対するありとあらゆるネガティブな側面を考え、想定することは、必ずしも悪いことだとは言い切れないと思います。
仕事や転職、引越しなどもそうですし、果ては結婚など、人生の転機となる大きな選択をする場合に、そのプラス面だけではなく、マイナス面にもしっかりと目を向けることはとても大切なことですよね。
ネガティブ思考な人ほど、割と早い段階からそういったマイナス面に目を向けるので、想定されるマイナスな事象を防ぐために、先回りしてその対処法を考える、事前に準備をする、懸念事項をあらかじめ共有する。
仕事などでも、あらかじめ起こり得るトラブルを想定するので、実際にトラブルが起こったときに落ち着いて対応できたり、最悪な事態を想定していることで余計なミスをしにくくなったりもします。
要は、軽率な行動を減らし、結果的にリスク管理、リスク回避につながるわけです。
実は目標達成力がある
さて、意外に思える話なのですが、ネガティブ思考がダイエットにどのような効果があるのかという調査研究が、ガブリエル・エッティンゲンという心理学者によって行われたようで、
ダイエットを始めてから1年後、ポジティブ思考の人よりもネガティブ思考の人のほうが大幅に体重を減少させているとの結果が出たそうです。
ポジティブ思考の人は平均で5kg前後の体重減少なのですが、ネガティブ思考の人はなんと10kg以上の体重減少を実現しているそうです。
とても意外な結果だと思いつつ、私自身も超絶ネガティブ思考なのですが、実は1年間で13kg減のダイエットに成功していたりします。
とすると、この研究結果もそんなに的外れではないのでは? と思えますね。なんせ自分で実体験していることですから(笑)
なぜネガティブ思考のほうがダイエットで良い結果を残せたのか?
やっぱり、ネガティブ思考の人のほうが現状の自分により不満があるからなんじゃないかなと思います。
痩せる理由付けとしては「痩せてもっと綺麗になりたい!」「○○(有名モデルなど)のような美しいプロポーションになりたい!」「自分の好きな服をカッコ良く着こなしたい!」
といったものが主かなと思います。「元カレを見返したい!」なんていう理由を聞くこともありますね。
ただ、これらは全部、痩せる理由としてはポジティブな方向性なんですよね。目標を持って自分を奮起させるというか。
私の場合は全く違って、全身鏡で見た自分の姿に幻滅したからなんですよね。もともと自分に自信がないもので、たるんだお腹のお肉を見て、触れて、「自分はなんて醜いんだろう」と落ち込んだわけです。
今の自分は嫌、こんなんじゃ○○さん(当時好きだった人)にも嫌われる、せめて痩せるぐらいはしないと・・・! と、割と切羽詰まっていました。ここらへん、さすがネガティブ思考だなぁと自分で思います(笑)
体重的には特に肥満というわけではなく、適正体重だったんですけどね。それでもそんな自分が嫌でダイエットしようと思ったわけです。
その結果がマイナス13kgです。
ダイエットに成功したからといってネガティブ思考が直るわけではないので、現状の自分への不満、太ることへの恐怖心もあり、軽い食事制限とストレッチなどは緩く続けているので、リバウンドも一切なしです。
それどころか緩いダイエット状態が続いているので、現状でもまだ少しずつ体重は減っているんですよね。
なので、周りの人からはたまに「そんなに痩せて大丈夫なの?」と心配されます。まぁ、これはこれで問題ではありますね・・・(汗)
ただ、ここで私が言いたいのは、現状や自分へのネガティブイメージがある人のほうが、実は目標達成しやすいんじゃないかということです。
例えばですが、
「頑張って働いてお金を貯めて、夢の一人暮らしを実現するぞ!」
「家に私の居場所はないし苦痛なだけ、早く自立してこんな家とはおさらばしたい」
前者と後者ですと、より早く実行に移せるのは後者の方だと思うんですよね。
人間、ポジティブな動機よりもネガティブな動機のほうに対してより積極的に行動できるんじゃないでしょうか。自分自身が切羽詰まっていればいるほど。
そして、ネガティブ思考な人のほうが、やはりネガティブな動機で動いている方が多いと思うんです。
これは上記の私の実体験でもお分かりいただけるかと思います。
目標達成力を高めるためには、ある程度ネガティブな視点も必要なのではないかと思う次第です。
なので、これもネガティブ思考の一つの長所ですね。
独創性がある
画家やクリエイターにはネガティブ思考の人が多いと聞きます。
完成した作品、思い付いたアイデアに対して「こんな出来じゃまだまだだ」「こんな作品誰でも作れる」「このクオリティで人前には出せない」といったように、自分の作り出したものに100%満足することはないということです。
だからこそ、血反吐を吐くような思いでひねり出した作品、アイデアは、とても独創性のあるものとなるんですね。
素晴らしい作品を生み出している方たちに多い思考だと思います。
日本の代表的な画家である葛飾北斎も、ご自分の絵に対して「このままで良いのか。現状に満足してはならない」との言葉を残しています。
ある意味ネガティブな思考、感情が作品を作り出すことへの原動力になっているのではないでしょうか。
それに、絵にはそのまま描き手の気持ちが表れたりもします。
ネガティブな気持ちで描いた絵というのはそれはそれで、その時その感情であったからこそ表現できたものですし、その時にしか描き表せないものでもあるはずです。
こういったネガティブな感情は絵だけでなく、音楽でも表現されているかと思います。
もちろんポジティブな内容の歌も良いですが、同じくらいネガティブな感情を歌った歌も、とても人気が高いですよね。
落ち込んでいるときなどは、そういったネガティブな歌のほうが自分に寄り添ってくれるようにも感じますし、心も落ち着きます。
表現の世界では、ネガティブ思考も作品として昇華されています。
私の知人にもミュージシャンとして活動している方がいるのですが、その方自身もとてもネガティブ思考なんですよね。
なので、その知人の歌う曲はほとんどネガティブな内容のものばかりなのです。
他人への嫉妬の歌、過去の選択に後悔する歌、何も変わらない日常を延々と過ごすことに対する不安の歌などなど、こういった内容をアップテンポで激しい曲調に乗せて歌っていて、世の中綺麗事じゃねえんだよ! と言わんばかりにぶん殴りにくるような曲ばかりで、これはこの知人にしか出せない世界観だと思います。
現に、この知人にはファンもとても多いんですよね。
知人も魅力的な人だし、歌も素晴らしいのはもちろんですが、こういったネガティブな世界観だからこそ共感されているという部分もあると思います。
未来への希望や、大切な人へ思いを伝えるようなポジティブな曲ももちろん好きですよ。
でも、こういうネガティブな曲はより人間味があるというか、表現の世界により深みを与えていると思います。
ですので、こういった独創性もネガティブ思考の長所かなと思います。
まとめ
今回はネガティブ思考の長所をいろいろと考えてみました。
長所と短所は表裏一体なので、必ずしもいいことばかりではないし、必ずしも悪いことばかりでもないと思います。
例えば、慎重に熟考するのがネガティブ思考の長所ではありますが、考え過ぎて即座に行動に移せないという短所にもなり得ますよね。
ただ、ネガティブ思考というのも、あくまでその人の性格、性質のごく一部にすぎません。
今回の記事のように、ネガティブな思考を長所として上手く生かしている人もたくさんいるのだと思います。
私自身、ネガティブ思考を根本から直すことはもう無理だと諦めているので、これが短所となることはある程度仕方がないにしても、どうせなら長所としての面もちゃんと生かしていければなと思っています。
少しでもこの記事が、ネガティブ思考に悩まれている方のお力になれれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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